今年も「Winter Wonderland」がやってくる

「雪が降る、きらきらと輝く冬の魔法」を描いたクリスマスの定番ソング「Winter Wonderland」。1934年にリリースされた当初は、ひと組のカップルの冬のロマンスを描いたものでした。ふたりで雪だるまを作り、それを牧師に見立てて結婚のまねごとをする。ふざけながら歩く雪道の先には、暖かな部屋で将来について語り合う、穏やかで幸せな時間が待っています。その後、“最後の二節”の歌詞は、子どもが雪の中で遊ぶ情景に差し替えられ、それもまた長く親しまれてきた理由のひとつになりました。

大人にも子どもにも、「Winter Wonderland」が描く世界は同じです。雪景色の美しさ、無邪気な楽しさ、そして大切な人と過ごす静かなひととき。白い息や街灯に反射する光、雪を踏むやわらかな音、冬の街がそっと輝きを帯びる情景が浮かんできます。
世界のあちこちでも、冬になると街は静かに明るさを取り戻します。ドイツの広場に並ぶクリスマスマーケットの小屋、ニューヨーク五番街を照らす、まばゆいイルミネーション。冷たい季節に灯る光は、人々の足元を照らしながら、その街らしいワクワクの冬を照らしています。

北欧・スウェーデンでは、日照時間が短く、11月にもなると午後3時頃にはもう薄暗くなります。けれど 「最初のアドヴェントの日」 が来ると、窓辺のキャンドルが灯り、人々の気持ちはふっと明るくなるのだといいます。寒くて、白くて、長い冬。その中には、“楽しみを待ちわびること”、“喜びを分かち合うこと”そんなあたたかい時間が、静かに流れています。

今月は、アイスランド出身のシンガーソングライターLaufey（レイヴェイ）による「Winter Wonderland」をセレクトしました。クラシックとジャズのエッセンスをまとわせながら、
名曲を現代の感覚でやわらかく再解釈した彼女の歌声は、アドヴェントの灯りのような静かな温もりにあふれています。
ガラス越しに見えるホワイトイルミネーションと真っ白な雪化粧、そして、この歌声。
世界とそっと寄り添う冬のきらめきが、今年も世界のあちこちに“奇跡”を運んでくれるに違いありません。

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