2025.08 icoi Lounge MUSIC コラム
世界が静かになる夏休み
ギラギラした日差しと、蝉の合唱。アイスが溶けていくそのスピードにあわてる夏の午後。自由研究に宿題、日記と焦る気持ちとは裏腹に、どこかで「永遠」を感じていた、あの頃の夏。
あれから時が経っても、今年の8月にも、また誰かの「それぞれの夏」が広がっている気がします。
お盆が近づき、ふるさとに帰って祖父母の家を訪ね、お墓参りに向かう。帰省ラッシュを抜けた先にある、静かな山あいの空気。ラジオの音が少し遠のいたとき、ふと、静けさが風の中に立ち上るのを感じます。
ヨーロッパでは、8月はバカンスの月。フランスでは、「パリが空になる」なんて言われたりするほど、パン屋やカフェのシャッターが次々に閉じられていく。イタリアでは「フェッラゴスト(Ferragosto)」という夏季休暇の文化が根強く、都市の喧騒がぴたりと止む。南米でも、熱帯の暑さの中にあってブラジルの一部地域では「フェリアス(休暇)」の習慣があり、家族や親戚と過ごすために都会を離れ、海辺や山間の小さな町に身を寄せる。“ひと呼吸おく”静かな夏が、たしかに存在しているのです。
札幌の夜風にも、そんな静けさの気配がふいに訪れる瞬間があります。永遠だと思っていた夏の、その小さな終わりの気配。賑やかな夏の向こうで、静けさの足音に気づいたとき。暑かった夏の余韻が、夜風にすっと溶けていくその一瞬に、こんな一曲をそっと重ねてみたくなります。
作詞作曲だけでなくDTMまでこなす、宮崎県出身のシンガーソングライター・lili maua。その名前には「どこか遠くて特別な存在でありたい」という思いが込められているそうです。
世界中が、音を潜める8月。
夏のざわめきがふと止んだら。もしかしたら世界も、あなたのまわりも、そっと呼吸を整えているのかもしれませんね。
あれから時が経っても、今年の8月にも、また誰かの「それぞれの夏」が広がっている気がします。
お盆が近づき、ふるさとに帰って祖父母の家を訪ね、お墓参りに向かう。帰省ラッシュを抜けた先にある、静かな山あいの空気。ラジオの音が少し遠のいたとき、ふと、静けさが風の中に立ち上るのを感じます。
ヨーロッパでは、8月はバカンスの月。フランスでは、「パリが空になる」なんて言われたりするほど、パン屋やカフェのシャッターが次々に閉じられていく。イタリアでは「フェッラゴスト(Ferragosto)」という夏季休暇の文化が根強く、都市の喧騒がぴたりと止む。南米でも、熱帯の暑さの中にあってブラジルの一部地域では「フェリアス(休暇)」の習慣があり、家族や親戚と過ごすために都会を離れ、海辺や山間の小さな町に身を寄せる。“ひと呼吸おく”静かな夏が、たしかに存在しているのです。
札幌の夜風にも、そんな静けさの気配がふいに訪れる瞬間があります。永遠だと思っていた夏の、その小さな終わりの気配。賑やかな夏の向こうで、静けさの足音に気づいたとき。暑かった夏の余韻が、夜風にすっと溶けていくその一瞬に、こんな一曲をそっと重ねてみたくなります。
作詞作曲だけでなくDTMまでこなす、宮崎県出身のシンガーソングライター・lili maua。その名前には「どこか遠くて特別な存在でありたい」という思いが込められているそうです。
世界中が、音を潜める8月。
夏のざわめきがふと止んだら。もしかしたら世界も、あなたのまわりも、そっと呼吸を整えているのかもしれませんね。