2025.07 icoi Lounge MUSIC コラム
夏の気配とひとつのノート
朝の光がゆっくり差し込むキッチンで、フレッシュなオレンジをひとつ切っただけなのに、ふわっと広がるその香りに、ふと気づく。
──あ、夏だ。
ミントの清涼感も、暑い空気をすっと通り抜けていく。
夏は、香りがよく響く季節かもしれません。
香りに「響き」があるのだとしたら、そこには“音”があるのでは──
そんな発想から生まれたのが、「香りの音階(香階)」という考え方です。
19世紀の調香師セプティマス・ピエスは、46種類の天然香料を「ドレミ…」の音階に対応させて分類し、“香りにもオクターブがあり、音楽のように調和を奏でる”と提唱しました。
ド(C)はローズやジャスミン、ミ(E)はオレンジやミモザ、ソ(G)はネロリやベルガモット
香りを聴くように味わうことができたら、夏の空気は音楽そのものです。
そんな「ひとつのnote」からはじまる物語といえば、1960年に生まれたボサノヴァの名曲「One Note Samba」。サンバなのに、音階は“たったひとつ”というユーモラスな名曲ですが、
その一音からはじまる揺れや余白が、多彩なカバーを生み出してきました。
今月のプレイリストには、monday満ちると、母・秋吉敏子の共演によるカバーを選びました。ひとつの音に、ふたりの人生が重なり合って、やわらかく深く響いていく。音が少ないぶん、心に残るnote(響き)も、濃くなっていく気がします。
香りも音も、たったひとつの“note”から世界がはじまる。
この夏は、そんな小さな音や匂いをひとつずつ拾い集めて、自分だけのサマーアルバムを重ねていくのも素敵ですね。
音楽を“聴く”というより、香りのように、音を感じる夏。
そんな季節の楽しみ方があっても、いいと思うのです。
──あ、夏だ。
ミントの清涼感も、暑い空気をすっと通り抜けていく。
夏は、香りがよく響く季節かもしれません。
香りに「響き」があるのだとしたら、そこには“音”があるのでは──
そんな発想から生まれたのが、「香りの音階(香階)」という考え方です。
19世紀の調香師セプティマス・ピエスは、46種類の天然香料を「ドレミ…」の音階に対応させて分類し、“香りにもオクターブがあり、音楽のように調和を奏でる”と提唱しました。
ド(C)はローズやジャスミン、ミ(E)はオレンジやミモザ、ソ(G)はネロリやベルガモット
香りを聴くように味わうことができたら、夏の空気は音楽そのものです。
そんな「ひとつのnote」からはじまる物語といえば、1960年に生まれたボサノヴァの名曲「One Note Samba」。サンバなのに、音階は“たったひとつ”というユーモラスな名曲ですが、
その一音からはじまる揺れや余白が、多彩なカバーを生み出してきました。
今月のプレイリストには、monday満ちると、母・秋吉敏子の共演によるカバーを選びました。ひとつの音に、ふたりの人生が重なり合って、やわらかく深く響いていく。音が少ないぶん、心に残るnote(響き)も、濃くなっていく気がします。
香りも音も、たったひとつの“note”から世界がはじまる。
この夏は、そんな小さな音や匂いをひとつずつ拾い集めて、自分だけのサマーアルバムを重ねていくのも素敵ですね。
音楽を“聴く”というより、香りのように、音を感じる夏。
そんな季節の楽しみ方があっても、いいと思うのです。