2025.05 icoi Lounge MUSIC コラム
5月の北海道とボサノヴァのアンニュイな調べ
風薫る5月。桜前線が雪解けの大地を優しい淡紅色に染め上げていくと、あとを追うように真っ白なスズラン、薄紫色のライラックと北海道に色が咲き始めます。気温もすくすくと上昇し、時折初夏の訪れを感じさせる日もある一方で、5月でも雪もちらつく日もあったりして。忘れかけていた冬の寒さは、冬服と覚悟をしまい込んだ道民にはなかなかこたえますよね。油断できない北海道の春に、それでも心と服装は軽やかに。街のリズムは初夏を先取りする「ボサノヴァ」の調べがよく似合います。軽快に弾むガットギターに薫る風はサウダージ。日本から1万8千キロも離れた遠い国ブラジルから届いたのはアントニオ・カルロス・ジョビン1967年作「Wave」に収録の「Lamento」。ボサノヴァの名盤・名曲のひとつです。
ポルトガル語で「新しい波」という意味の「Bossa Nova」はブラジルの伝統的な音楽のサンバやショーロを基にモダンで心地よい音楽を、とアントニオ・カルロス・ジョビン、ジョアン・ジルベルト、ヴィニシウス・ジ・モラエスなど新しい才能たちによって1950年代後半のリオ・デ・ジャネイロで誕生しました。深いメロディーラインに、哀愁をおびながらささやくように歌いかけるボーカル、そしてジョビンが生み出したギター奏法「バチーダ」がサンバの「陽気なブラジル」とはまた違う、軽くてモダンで、どこかアンニュイな独特の響きを奏でています。爽やかなボサノヴァもありますが、ボサノヴァには哀愁・郷愁なサウンドも多いんですよね。
ボサノヴァと5月。リラ冷えに思わず身をすぼめる北海道の5月とすこし憂いを帯びたギターの音色は春の空によく溶け合う、そんな気がします。
ポルトガル語で「新しい波」という意味の「Bossa Nova」はブラジルの伝統的な音楽のサンバやショーロを基にモダンで心地よい音楽を、とアントニオ・カルロス・ジョビン、ジョアン・ジルベルト、ヴィニシウス・ジ・モラエスなど新しい才能たちによって1950年代後半のリオ・デ・ジャネイロで誕生しました。深いメロディーラインに、哀愁をおびながらささやくように歌いかけるボーカル、そしてジョビンが生み出したギター奏法「バチーダ」がサンバの「陽気なブラジル」とはまた違う、軽くてモダンで、どこかアンニュイな独特の響きを奏でています。爽やかなボサノヴァもありますが、ボサノヴァには哀愁・郷愁なサウンドも多いんですよね。
ボサノヴァと5月。リラ冷えに思わず身をすぼめる北海道の5月とすこし憂いを帯びたギターの音色は春の空によく溶け合う、そんな気がします。